ピラミッドの研究はこれまで、なぜ建てられたのか、どのように建てたのか、という謎を解くことを中心に進んできた。だけど、それだけでは大切な要素が抜け落ちてしまう、と著者は言う。ピラミッドを造った人たちは、どんな生活をしていたのか-。本書は建造に携わった人々が住んだ「ピラミッド・タウン」の発掘調査を通じて、超巨大建築に挑む〈普通の古代エジプト人〉の暮らしぶりに迫っていく。ピラミッド内の洞穴で、粗雑な作りをみて「人間くささ」にほっとしたり、古代のパン復元に挑戦したり…。著者の視点がユニークで楽しめる。(新潮社・1400円+税)
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2015年11月29日 掲載
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