『教場』
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教場 [著]長岡弘樹
[レビュアー] 若林踏(書評家)
横山秀夫が刑事以外の警察官にスポットを当てた小説を書いて以降、日本の警察ミステリでは警察組織そのものを題材にした作品が数多く生み出されるようになった。本書はその「警察内小説」とでもいうべきジャンルに、新たな地平を築いた連作短編集だ。
物語の舞台となるのは警察学校。日々厳しい訓練に耐える生徒たちの前に、不可思議な謎と、腹の底が全く読めない教官の風間が立ちはだかる。生徒達を待つのは脱落か、卒業か。
警察学校という特殊な空間を描いたお仕事小説として、また、一編一編に盲点を突くアイディアが織り込まれた謎解き短編集として記憶に残る傑作である。