犬の心臓・運命の卵 [著]ミハイル・ブルガーコフ[訳]増本浩子、ヴァレリー・グレチュコ

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犬の心臓・運命の卵

『犬の心臓・運命の卵』

著者
ミハイル・ブルガーコフ [著]/増本 浩子 [訳]/ヴァレリー・グレチュコ [訳]
出版社
新潮社
ジャンル
文学/外国文学小説
ISBN
9784102200063
発売日
2015/11/28
価格
693円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

犬の心臓・運命の卵 [著]ミハイル・ブルガーコフ[訳]増本浩子、ヴァレリー・グレチュコ

[レビュアー] 瀧井朝世(ライター)

 1891年にウクライナのキエフに生まれ、医者から作家に転身して執筆を開始するが、ソヴィエト体制を風刺する内容が問題視され発禁処分の憂き目にあったミハイル・ブルガーコフ。ペレストロイカ以降再評価された作品から、二篇を収録。

「犬の心臓」ではヒトの脳下垂体と睾丸を移植され人語を理解するようになった野良犬が、やがて労働者階級に心を寄せていく。「運命の卵」では生物の成長を促す赤色光線が発見されるが、ある人物が鶏卵と間違えて蛇の卵にその光を当ててしまう。

 当時のソ連への痛烈な批判を感じると同時に、普遍性のある風刺の鋭さとユーモアのセンスに感服必至。

新潮社 週刊新潮
2015年12月24日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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