【児童書】 『ぞうさん、どこにいるの?』バルー作、柳田邦男訳
[レビュアー] 篠原知存(ライター)
■人と自然の関係を一目で
〈ぞうさん、どこにいるの?〉〈おうむさん、どこにいるの?〉〈へびさん、どこにいるの?〉。本文はたったこれだけ。あとひとつ単語が出てくるけれど、それは秘密。絵本ならではの魅力があふれる一冊だ。
最初のページは、見開きの海。端に少しだけ陸地が見える。次に、カラフルな森があらわれて、冒頭の文章が登場。つまり、絵の中から動物たちを探す本なのだな、と理解できる。
ページを繰っていくと、どんどん森の面積が減っていく。木が伐採されて、空き地に家が建つ。道路ができて車が走る。そのうちにビルがびっしり立ち並ぶ。森が小さくなるにつれ、動物たちを探すのも簡単になっていくのだが-。
人の営みと自然の関係性をうまく視覚化していて、子供たちと話をするいいきっかけになりそうだ。
さっそく家で試してみたところ、3歳の次男の反応は「かんたんだった!」。えーと、もしかしてウォーリーやミッケと比べてる? ま、そうやって遊んでいるうちに…。(光村教育図書・1300円+税)
篠原知存