ブックセンターササエ(佐々栄文盛堂)「これがワタシの持ち味です…的な何か」【書店員レビュー】

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ブックセンターササエ「これがワタシの持ち味です…的な何か」【書店員レビュー】

[レビュアー] ブックセンターササエ(佐々栄文盛堂)(書店員)

東日本大震災後。復旧工事の現場で大活躍した(現在も活躍中)ある一人の、いえ、一台のブルドーザー、スイブル君の奇跡の復活物語。 もともとは1970年代に生産され、機体もボロボロ、見た目もサビだらけで建設会社のガレージに眠っていたスイブル。工事用機械として活躍の場を与えられる事に。し・か・し。解体され「鉄くず」にされるのではないかという恐怖。周囲の最新型の機械に比べて旧型である故の劣等感。そんな不安な気持ちに苛まれるスイブル。そんな彼がいかにして復活を遂げるのか。 時代が変わっても、その道具・その機械だからこそ用が成せる代替不可能な機能・特性があったりします。ある種、人間も同じですよね。その人ならではの「持ち味」があり、その人にしか果たせない役割があって…。 

復旧作業現場で大活躍するスイブル君。彼の姿から教えられます…「自分にもまだまだできる事があるかもしれない、自分なりに。それがささやかな事だとしても…」と。読後にコブシをグッと握り締めたくなる。うん…と頷いて前を向きたくなる…そんな絵本です。

トーハン e-hon
2016年1月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

トーハン

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