【児童書】『おじいちゃんのゆめのしま』ベンジー・デイヴィス作、小川仁央訳 あたたかい別離の物語

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おじいちゃんのゆめのしま

『おじいちゃんのゆめのしま』

著者
ベンジー・デイヴィス [著]
出版社
評論社
ISBN
9784566080058
発売日
2016/02/01
価格
1,540円(税込)

【児童書】『おじいちゃんのゆめのしま』ベンジー・デイヴィス作、小川仁央訳 あたたかい別離の物語

[レビュアー] 産経新聞社

 ある日、おじいちゃんの家を訪ねたシド。「見せたいものがあるんだよ」と言われて、初めて屋根裏部屋に登ってみたら、そこには大きなドアが。「先にお行き」とうながされ…。
 〈シドは とってを まわして、ガチャッ、おもい ドアを おしあけた〉

 そこはなんと船の上。〈ボオオオオオオオオッ!〉おじいちゃんがハンドルを引いて、汽笛を鳴らす。〈しゅっぱつしんこう!〉

 水平線のかなたに見つけたのは、ジャングルの島。古い丸太小屋を、2人できれいに住めるようにして、あちこちを探検する。シドは「ずっとここで暮らしたい」とも思ったけれど、いつか帰らなくてはいけないこともわかっていた。すると、おじいちゃんが言う。
 〈わたしは、ここに のころうと おもうんだ〉

 別離の物語だが、旅、ユートピア、自然と人間、自立…さまざまなモチーフが織り込まれて深みを与えている。デフォルメされた人物やカラフルな動物たちなど、絵柄がポップなこともあって、全体のトーンは明るくあたたかい。(評論社・1400円+税)

産経新聞
2016年2月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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