業績好調なITベンチャーを退職したバツイチの女性、ミワ。やがて東京で旅行者向けの「民泊」ビジネスを本格化させたミワは、冷徹な資本の論理と奮闘することになる。日進月歩のIT環境、民泊運営の内実、外国人との文化的衝突…。「今」を巧みに切り取った道具立てで、焦燥感に襲われながらも自分らしい生き方を模索する女性の姿を描く。重苦しさを吹き飛ばすような軽妙な文体や、何事にもポジティブなベトナムからの女子留学生など脇役の造形も光る。
芥川賞候補に入ったそんな表題作と、デビュー作「サバイブ」を収録。(文芸春秋・1300円+税)
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2016年3月27日 掲載
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