たとえば「思考と感覚」もしくは「客観と主観」という二項の間にはそれぞれ壁があるようにみえる。本著で森田氏の提示する「解」は、人間の認知にそびえ立つであろうこの壁を取り払って、「数学」と「身体」における相関を証明している。さらに、数学だけに留らず、歴史・文学・心理・医学・建築などの分野に触れつつ、かつ超越した風景をもあぶりだす。新進の独立研究者が放つこの快著を読み返す度に、浮かぶ「思想」は私に生きる活力を与えてくれる。
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2016年2月6日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです