LINEを爆速成長させた元CEOが明かす 飛躍する「狂気」を教えてくれた本【自著を語る】

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新世代CEOの本棚

『新世代CEOの本棚』

著者
堀江 貴文 [著]/森川 亮 [著]/朝倉 祐介 [著]/佐藤 航陽 [著]/出雲 充 [著]/迫 俊亮 [著]/石川 康晴 [著]/仲 暁子 [著]/孫 泰蔵 [著]/佐渡島 庸平 [著]
出版社
文藝春秋
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784163904283
発売日
2016/03/25
価格
1,512円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

LINEを爆速成長させた元CEOが明かす 飛躍する「狂気」を教えてくれた本【自著を語る】

[レビュアー] 森川亮(LINE元CEO・C Channel CEO)

 CEOとしてLINEを率い、現在はC Channel CEOを務める森川さん。LINE躍進の秘密をまとめた自著『シンプルに考える』は、ベストセラーに。そんな森川さんが、経営者としての自分を磨き抜くために、繰り返し読む本とは?

 ***

 僕が長期的に影響を受けている本のうちの1冊が、『7つの習慣』です。同書を読むだけではなく、著者であるコヴィー博士のセミナーも受け、フランクリン・プランナーの手帳も使っています。

 僕たちは毎日忙しくて、つい目の前の仕事ばかりやってしまうけれど、それだと自分が本当にやりたいことはできない。そのための時間が確保できないからです。だからこそ、最終的なゴールから逆算して、今やるべきことを忘れずに実行するように、スケジュールを立てて手帳に書いておく。そういう行動様式ができあがったのは、完全にこの本の影響です。

 ちなみに、僕は今、手書きの手帳を2冊併用していて、先ほどのフランクリン・プランナーと、もう1冊はGMOインターネットの熊谷正寿さんによる「夢手帳」です。熊谷さんの『一冊の手帳で夢は必ずかなう』を読んで以来、使い勝手がいいので、ずっと愛用しています。

 具体的には、自分が使うおカネと時間について毎週あらかじめ計画を立て、1週間が終わると、実際に何にいくらの金額とどれだけの時間を使ったか、その誤差を分析して、自分のクセをつかむようにしています。

 人間は弱い生き物だから、どうしても楽なほうに流されてしまう。もちろん、僕も放っておいたらそうなる。

 僕は自分を信用していない。だからこそ、楽なほうに流されないように、自分の行動を常にチェックしているのです。

 また、僕はこれまでの起業家人生でたくさん失敗を経験してきたので、これ以上時間をムダにしたくないという気持ちが強くあります。失敗するのは仕方ないけれど、同じ失敗を繰り返してはいけない。

 手帳に全部書き出して分析しているのは、同じ失敗をしたくないという意味合いもあります。

 加えて、手帳にはその日に食べた物も書き込みます。昔はラーメンが好きで、よく食べていましたが、食べ物の本によるとラーメンはやはり身体に悪いらしい。そこで、ラーメンを避けるために、僕はどんなときにラーメンを食べたくなるのか分析しました。

 すると、ラーメン店が多い通りを歩くと吸い寄せられるように店に入ってしまうことがわかった。だから、絶対にそこは通らないし、ラーメン特集が多い夜のテレビ東京は見ないと決めて、あたかもラーメンという食べ物が存在しないかのように振舞っています。そうしているうちに、ラーメンを食べたいとは思わなくなります。僕は、そういう小さな改善を一個ずつやっているわけです。

 日々、小さな改善をすること、細部にこだわるのには、高速で走っている新幹線はひと粒の石ころでも大事故につながるとの思いがあるからです。

 なるべくそういう障害を排除していかないと、高速で物事を処理するのは難しい。ネットやメディアの世界はスピードが命ですから、自分の時間をすべて使い、できることは全部やってようやく勝負になると思っています。

 同じく、僕が長期的に影響を受けている本の2冊目は、『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』です。リーダーシップのスタイルが変わって、アートの領域というか、数字だけでは表せないところに価値を見いだして、それを追求していくというところに共感し、経営者として最も影響を受けました。

 単純に安くていいものをつくれば売れる時代から、付加価値を生み出す時代に変わってきたので、それを具現化していくリーダーシップが重要なのかなというのが、自分なりの理解です。

 リーダーシップに決まったかたちはありませんが、自分本位だとうまくいきません。ここはリーダーシップを発揮するけど、ここは任せるというのを、相手によって、状況によって、かなり細かく分けて考えないといけません。

 たとえば、会社の調子がいいときと、うまくいっていないときでは、同じリーダーでも果たす役割が違います。潰れそうなときは、役員に対してはこう接するけど、部長に対しては違うやり方で接するとか、なるべく多くの引き出しを持っているほうがいい。リーダーはそういうパターンをどれだけたくさん持っているかが重要だと思います。

 本を読むときも、特定の誰かに肩入れするというよりも、さまざまなパターンを取り入れたいので、このシーンではこの人のやり方、別のシーンではあの人のやり方というように、いいとこ取りをしています。その意味でも、『ビジョナリーカンパニー』シリーズは役に立ちます。

 最新刊の『ビジョナリーカンパニー4 自分の意志で偉大になる』には、少し狂気に近いような経営者の事例が挙げられています。最近はやりの人工知能(AI)やビッグデータは、アルゴリズムの世界です。大量のデータを分析して、一番賢い選択肢を選ぶ。

 しかし、経営者は時として、アルゴリズムではとらえきれない感覚的な判断を優先します。論理的に突き詰めていくと、絶対にそれは選ばないというものを、あえて選ぶときがある。同じことを賢く、賢くやっていくと、だんだんコストが下がってパターン化されるけれども、それだけでは飽きられてしまいます。

 次の飛躍をもたらすのは、ある種の狂気です。誰も理解できないし、説明も分析もできないけれど、これだと思ったら信じてやり抜く。そういうパターンもあるということをこの本は教えてくれたのです。

文藝春秋 本の話WEB
2016年4月1日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

文藝春秋

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