【見逃していませんか?この本】”へり”を歩く楽しみ/能町みね子「『能町みね子のときめきデートスポット』略して、能スポ」

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『能町みね子のときめきデートスポット』、略して 能スポ

『『能町みね子のときめきデートスポット』、略して 能スポ』

著者
能町 みね子 [著]
出版社
講談社
ジャンル
芸術・生活/諸芸・娯楽
ISBN
9784062933452
発売日
2016/03/15
価格
770円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【見逃していませんか?この本】”へり”を歩く楽しみ/能町みね子「『能町みね子のときめきデートスポット』略して、能スポ」

[レビュアー] 労働新聞社

 渋谷、原宿、六本木――綺羅びやか街のデートスポットを一冊にまとめてご紹介!…という本ではない。著者曰く「死にそうな場所が好きなんです。市販のデートスポットなんて、薄っぺらで合成甘味料みたいな味で、いけすかんのです」。よって、この本で紹介する街は、西高島平、吉原、武州長瀬、野田などの一般的にはメジャーとはいいがたい街だ。

 あらゆる場所をデートしていくなかで、よく脚を運ぶのが「へり」だ。市境や海沿いなどで、そこでは様ざまな発見がある。

 たとえば舞浜では、かの有名なレジャー施設のへりを歩く様子が面白い。筆者はかつて、外周を回るモノレールで”釣り人”を見たといい、今回はその釣り人が降りたベイサイド駅で下車し、江戸川河口沿い~東京湾沿いを巡った。そこにはジャングルクルーズを楽しめるような思いがけないスポットが…!探検の仔細は、是非読んで確認していただきたい。

 実は本書、『モーニング』で2008年から連載されたエッセイをまとめたもので、8年の歳月を経て、このほど単行本化した。当然、時間は流れ、当時あったものは次々と姿を消してしまっているという。してみれば、今、私が日常の中でみているありきたりなつまらない光景も、8年後はどうなっているか分からない。ふらっと訪れて散歩した街も然り。街歩きの面白さを再認識させられるとともに、日々目に飛び込んで来る景色への愛おしさが芽生えてきた(M)。

のうまち みねこ、講談社・756円/漫画家、エッセイスト、好角家。『オカマだけどOLやってます』『ときめかない日記』『お家賃ですけど』など。週刊文春の『言葉尻とらえ隊』をはじめ雑誌での連載多数。テレビ、ラジオでも活躍しており、レギュラー放送に『久保みねヒャダのこじらせナイト』(フジテレビ)、この4月から『TOO MUCH LOVER』(ニッポン放送)。

労働新聞
2016年4月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

労働新聞社

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