『国士舘物語』
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『国士舘物語』栗山圭介著
[レビュアー] 産経新聞社
尾崎豊の歌詞を地でいくかのような、昭和時代を感じさせるバンカラ小説だ。<国士舘大学体育学部体育学科。僕の、特別すぎる四年間が幕をあけた>。全国各地から集まってきた“ワル”。1年の頃は目が合えば殴り合っていたのが、いつしか互いの苦悩を理解し合ってまとまり、生活指導の主事のため学部内競技会で優勝を追い求める。体罰や行きすぎた上下関係を描きながらも読後感はさわやか。登場人物がみな人間臭く、もがき苦しみながら成長する姿が温かく描かれているからだろう。誰もが胸に抱える若かったころの話。懐かしさを覚え、一気に読破できる。(講談社・1600円+税)