明文堂書店石川松任店「中毒になるかも!?」【書店員レビュー】
[レビュアー] 明文堂書店石川松任店(書店員)
死刑囚についての本を書こうとしている〈僕〉。二人の女性を殺害した罪で死刑判決を受けた男は、『蝶』という名の写真で高く評価されたカメラマンであった。〈僕〉は、男について知るために、彼の周辺人物たちを取材していくのだが・・・・・・。
『教団X』(これはすごい作品ですよ!)などと同様、本作も多くの人に親しまれる作品とは言いづらい。しかし心を掴まれた時の中毒性はかなり強いので、どんな本か気になった人は是非読んで欲しい。最高の愛読書が見つかるかもしれませんよ。不器用ゆえにうまく生きられず狂うしかなかった人間たちに対する著書の想いが、ミステリという形式によって強く伝わってくる傑作だ。