渕書店 BOOKSTORE FUCHI「ぼくはクマなのに、人間たら、もう・・・。」【書店員レビュー】

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くまごろうのだいぼうけん

『くまごろうのだいぼうけん』

著者
ブライアン・ワイルドスミス [著、イラスト]/新井 満
出版社
教育画劇
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784774606590
発売日
2005/04/01
価格
1,430円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

渕書店 BOOKSTORE FUCHI「ぼくはクマなのに、人間たら、もう・・・。」【書店員レビュー】

[レビュアー] 渕書店 BOOKSTORE FUCHI(書店員)

けばけばしくはないソフトな極彩色、洒脱なタッチ、物語のキーワードは「夢」。ガリレオ山に住む、くまごろう、彼はある日住処の近くに降りてきた人間の操作する気球に乗る。彼に「乗る」などという意思はない。ベットのようなゆりかごのような気球のカゴが心地よかったからである。あんまり心地よいものだから思わずそこで寝てしまうくまごろう。さあ、冒険の始まり-。
くまごろうが寝てるあいだに気球はいつの間にかガリレオ山を飛び立ち、目覚めると気球は大都会の上空。降りたつと街ではかそうパレードが出発するまさにそのとき。みんながくまごろうのあまりに完璧な仮装?ぶりに狂喜する。そしてその姿がTV局のプロデューサーの目に止まり番組に出演。ガルルー、ガルルーとしかしゃべれないのに人間達の勘違いで一躍、街の有名人(というか有名熊?)になったくまごろう・・・。どたばたと物語は人間達の勘違いで進む。ラスト、結局のところ元いた山に偶然にもまた気球で戻ってくるくまごろう。街での騒ぎに疲れ果てて寝てしまう。目覚めて山にいるくまごろう・・。「ようするに ぼくは、ながーい ゆめを みていたのかな・・・(本文)」。このファンタステックな物語を読んだ子供はその夜、どんな夢を見るんでしょう?「ようするに ぼくは・・・」、と言い出すかも-。

トーハン e-hon
2016年4月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

トーハン

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