【児童書】『しましまかしてください』林なつこ作 楽しみつつ貸し借り学ぶ

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

【児童書】『しましまかしてください』林なつこ作 楽しみつつ貸し借り学ぶ

[レビュアー] 篠原知存(ライター)

〈その しましま ぼくに かしてくれませんか〉

 ゾウが、いろいろな動物たちから「しましま」を借りる物語。最初はハチ。そしてサル。それからトラ。だけどゾウは大きいので、ちっとも足りません。それで大きな空から「あれ」まで借りて、とうとう立派なシマゾウに。シマウマと仲良しになれました。

 ゾウが、みんなにしましまを借りるたびに言われるセリフが「いいけど、ちゃんとかえしてね」。だけどゾウはすっかり返すことを忘れてしまって…。

 「貸し借り」というのは子供がほかの子とコミュニケーションを取り始めるころ、まず教えたいことのひとつだろう。「友達から勝手にものを取っちゃだめ」とか、「お願いされたら貸してあげようね」とか。読み聞かせながら、楽しく話ができそうだ。

 表紙のゾウにピッタリのしましまが描かれた透かし紙の帯がいい。宣伝文句がうるさい帯はすぐ捨てちゃうことにしているが、これはつけて、外して、楽しめる。(教育画劇・1300円+税)

 篠原知存

産経新聞
2016年5月8日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク