女性もてる爺になる秘訣 これで駄目ならあきらめなさい

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女性もてる爺になる秘訣 これで駄目ならあきらめなさい

[レビュアー] 立川談四楼(落語家)

 副題に「もてあます暇をもてあそぶ極意、教えます」とあります。次々とリタイアする団塊の世代。私はその下の世代ですが、我が友人達も定年となり、暇を持て余しています。

 すべての人が潤沢な退職金をもらうわけではありません。親の介護にニートの息子とくれば、その老後は切ないものになります。「キレる老人」やら「暴走老人」なる言葉も巷にはあります。本書は真っ只中の人と予備軍へのエールなのです。

 団塊の世代二人の共著です。吉川氏は作家にして演芸評論家、島氏はオールディーズと映画に造詣の深いコラムニスト。二人がそれぞれの立場で唱える数々の暇のつぶし方には、定年のない落語家も大いに頷いたのです。

 各章のタイトルにキイワードがあります。食事とおしゃべり。映画、音楽、ライブ。散策。旅。テレビとインターネット。60過ぎたら。先人たち。暇つぶしの相手。人生の整理……。それらについての提言、あるいはお勧めというわけです。

 二人の主張は微妙に違います。だからこそそれぞれの個性を楽しめるのですが、テレビとインターネットに関しては意見が合います。もちろん異音同義という意味でですが。二人は見るなやるなではなく、そのつきあい方に言及するのです。

 吉川氏は「女性に好かれる爺であれ」と言い、島氏は「ガールフレンドを作ろう」と言います。さあこれは大問題です。せっかく知り合っても嫌われては何にもなりません。島氏がコツを説きます。1に清潔、2に清潔、3、4がなくて5に笑顔と。名フレーズです。暗くて不潔な老人、それを考えれば身に染みるわけです。

 島氏は女性に好かれるコツを更に説きます。(1)プレゼントをしなさい。(2)着ているものを誉(ほ)めなさい。(3)相手の話をよく聞きなさい。それでダメならあきらめなさい。いいオチです。そういうスタンスでいることが暇つぶし爺の嗜みなのでしょう。

新潮社 週刊新潮
2016年5月19日菖蒲月増大号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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