これは事実ではない!?
[レビュアー] 図書新聞
二〇〇三年からフジテレビの深夜枠で放送された同名ドラマから三作品(「呪われた大家族」「ストーカー地獄編」「しじんの村」)を小説化。まるでノンフィクションのような淡々とした書きぶりゆえに、フェイクと知りながらも、実際に起きた出来事のような迫真性に圧倒される。各話とも、真相が明らかにならず、すっきりしない形で幕を下ろすのだが、実はそれは意図的。最後に添えられた「放送禁止となった理由」「素材テープ・スクリプト(書き出しメモ)、一部抜粋」が、読者の後味の悪さ、モヤモヤ感をピンポイントで刺激し、もう一度怪しい箇所を振り返らせる、すなわち一気読み+二度読みという仕掛けが憎らしいまでによくできている。映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』が好きな人は絶対にハマる一作だ。(3・25刊、二〇二頁・本体五六〇円・角川ホラー文庫)