オカルトはマジョリティに対するカウンター
[レビュアー] 図書新聞
一九七〇年代は、UFOや超能力といったオカルトが市民権を獲得していた時代だった。七三年には「木曜スペシャル」が始まり、小松左京『日本沈没』、五島勉『ノストラダムスの第予言』という大ベストセラーが刊行された。そのブームを検証し、正体に迫った一冊。新書サイズだが、情報は満載。例えば「第三種接近遭遇」を語る上で欠かせないヒル夫妻誘拐事件について、「当時としては珍しい白人女性と黒人男性の夫婦であった」ということも記されており、また巻末の年表も簡にして要を得ている。著者はオカルトの役割について、エンターテインメントとしてのみならず、「世の中のマジョリティの考え方に抗うカウンターであり続けることもまた重要」と述べている。あなたの判断はいかに?(1・20刊、二六〇頁・本体八二〇円・光文社新書