『たたき上げ』
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土俵人生を描く 『たたき上げ 若の里自伝』西岩忍著
[レビュアー] 産経新聞社
かつては当たり前だった。中卒で角界へ入ることを意味する「たたき上げ」。いまは高校、大学出身力士が増えた。元関脇若の里はたたき上げの象徴的な存在だった。故郷・青森から上京し、大相撲で活躍。誠実な土俵態度が愛された。両膝など、9度の手術を経験しながら39歳まで現役を続けられたのは師匠の鳴戸親方(元横綱隆の里)の指導の下、〈ほかのどの部屋よりもやったという自負がありました〉という猛稽古のおかげだろう。相撲との出会い、稽古漬けの日々、現役引退、そして親方として歩むこれからへの抱負。記された土俵人生そのものが相撲の魅力を伝えている。(大空出版・1200円+税)