「恐怖」とは何かをとことん追究!
[レビュアー] 図書新聞
無用の長物と思われがちなホラー映画が、これほど学問の役に立ったことがあっただろうか? 『スクリーム』などのホラー映画を参照しながら、「恐怖」とは何かをとことん追究した一冊。決して易しい話ではなく、丁寧に理路をたどる必要があるのだが、「目玉を指で押しながら(瞼の上からにしてください)」など、著者のユーモア溢れる語り口のおかげで、最後まで読み通せる。「理性は合理性の起源であると同時に、他の生きものには見られそうもない人間独自の非合理性の起源でもある。そして、その非合理性を描いてみせることが、ホラーの機能の一つ」という記述には激しく同意。読了後は、巻末の「おすすめホラームービー10選」も参考にして、「恐怖の哲学」を実践してみよう。(1・10刊、四四六頁・本体九八〇円・NHK出版新書)