『金沢金魚館 シュガードーナツと少女歌劇』
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うつのみや上林店「温かく、ほろ苦いその味わいは特別な一杯の珈琲の様」【書店員レビュー】
[レビュアー] うつのみや上林店(書店員)
短篇三話収録。『金沢金魚館』の続刊。
前作に比べて作品世界がより広く深くなったように感じました。
主人公がクローズアップされていて、三話を通して彼が変化し、成長する過程が描かれています。金沢とその近郊が舞台です。東茶屋街のあるお茶屋の親子の絆、若きカリスマ職人と古九谷の謎、挫折を味わって粟崎遊園に迷い込む話など、物語のテーマも素材もとても興味深く楽しみました。地元の事はよりいっそう勉強したくなりました!
話の中心が主人公にあったためか、前に出てきた登場人物との絡みがあまりなかったのが少し残念でした。それはもっと深くこの作品世界のことが知りたいという気持ちの裏返しなのだと思います。