【児童書】ワクワクする夜の冒険 『よるのおさんぽ』
[レビュアー] 村島有紀
優しい色使いと、心をなごませる絵が人気の米国在住のイラストレーター、デイヴィッド・ウォーカーの新作絵本。皆が寝静まった後に、そっとベッドを抜け出した子供たちが街に繰り出し、内緒の冒険を繰り広げる。
船に乗ってたどりついた夜の国では、かくれんぼに砂遊び、ふわふわのカップケーキを作ったり、思い思いの着ぐるみを着て、仮装行列を楽しんだり…と、夢のような時間が待っていた。〈そらに むかって たからかに こえを あわせて うたおうよ〉など、七五調のリズミカルな翻訳文も楽しい。
子供を寝付かせる際に読むベッドタイムストーリーかと思ったが、ワクワクしすぎて逆に目がさえてしまう心配も。夜には昼とは違う不思議な魅力があふれる。なぜかハイテンションになってしまう子供もいるから、ちょっと心配。「絵本の続きを想像してみて。夢の中なら、夜の国に遊びに行けるよ」-なんて言ったら、素直に目を閉じてくれるかな?(リリー・ロスコウ文、デイヴィッド・ウォーカー絵、福本友美子訳/岩崎書店・1200円+税)
村島有紀