【話題の本】身近な草花のことを知りたい 『散歩で出会うみちくさ入門』佐々木知幸著、このは編集部編
[レビュアー] 藤井克郎
毎日の通勤や買い物で見かける道端の名も知らぬ草花。そんな「みちくさ」をずらっとカラー写真付きで大量に紹介している。7月21日の発売初日に、ネット通販で品切れが相次ぐほど、反響を呼んでいるという。
生き物に特化したガイド「このは」シリーズの第12弾として企画された。きっかけは同シリーズ編集長の志水謙祐さんが、保育園の送り迎えのときに、子供から投げかけられた問いだった。「チビがいちいち花の名前を聞いてくるのですが、僕はあまり詳しくなくて、これは需要があるんじゃないかと思った」と振り返る。
鎌倉を拠点に自然観察会を開いている造園家の著者が、都会でも簡単に見つけられる「みちくさ」を、その特徴や見どころなどを解説。さらに観察の仕方や「みちくさ」で作る草木染など、幅広い楽しみ方が掲載されている。
「植物図鑑にはたくさんの種類が載っているが、野山や公園に行かないと見られない花ばかりで、こういう本はありそうでなかった。著者の観察会には若い女性も多く集まるそうで、身近な花のことを知りたいという人はかなりいるということでしょう」と志水編集長は話している。(文一総合出版・1800円+税)
藤井克郎