完全に「正しい」酒飲みの姿

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ぶらり昼酒・散歩酒

『ぶらり昼酒・散歩酒』

著者
大竹聡 [著]
出版社
光文社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784334773076
発売日
2016/06/09
価格
748円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

完全に「正しい」酒飲みの姿

[レビュアー] 図書新聞

 オビに「美味い一杯にたどりつく。そのための散歩です」とある。この種の「本末転倒」、酒飲みなら誰しも心当たりがあるだろう。大竹さんは鎌倉、立石、北九州、新宿三丁目、調布などをふらふらと散歩し、頃合いを見て(?)飲む。昼から飲む。夜になっても飲む。夜が更けても飲む。たまには朝から飲む。吉田健一が短編「酒宴」に書いている通り、これは完全に「正しい」酒飲みの姿である。本書は雑誌の連載エッセイをもとにしたもので、期間は二〇一二年から二〇一五年にわたる。つまり東日本大震災と福島第一原発の爆発の後だ。書中、大竹さんは夢の中でこう叫ぶ。「原発再稼働ちょっと待ったー!」。これも完全に「正しい」酒飲みの姿だ。なぜなら、爆発する原発などあったら、うかうか酒も飲んでいられないのだから。(6・20刊、三一八頁・本体六八〇円・光文社文庫)

図書新聞
2016年8月6日号(3266号) 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

図書新聞

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