酒をのめ! 眠るか酔うかだ!
[レビュアー] 図書新聞
「ルバイヤート」とは、ペルシア語の四行詩「ルバーイイ」の複数形。一一世紀のペルシアに生まれた天才オマル・ハイヤームの名とともに知られるルバイヤートの成立と背景、そして後世への影響を追った一冊だ。「ルバーイイの多くは文字には残されず、すぐれた詩は口伝えに広がっていった」。ゆえにどれが本当にハイヤームの詩か分からない。二五〇部から世界に広まったり、タイタニック号とともに沈んでしまったりした『ルバイヤート』。そんな来歴が、世界中に愛好家を生む要因となっている。「酒をのめ、こう悲しみの多い人生は/眠るか酔うかしてすごしたがよかろう!」。『ルバイヤート』が、「ノイローゼの一歩手前」から救ってくれたという著者の気持ちがよく分かる一節だ。(5・22刊、一八八頁・本体七〇〇円・集英社新書)