海中生物たちの生態行動をつぶさに観察
[レビュアー] 図書新聞
書名も目を惹くが、目次を読むともっとすごい。大きなペニス、噛みつき交尾、クネクネ求愛、精子競走、フェロモンを大切に、放尿、ロリータなどなど……。魚の生態行動の面白さに惹かれ、海に潜って撮影をつづける水中カメラマンが奇跡的に出会った数々の神秘的な魚類の行動。一万回以上海に潜った著者が、それでもただ一度しか見ることのできていない誰も知らなかった海の中の出来事が満載だ。一見ふざけているようにも見えるが、そんなことはない。至極真面目に魚たちの行動を愛情込めて語っている。擬人化してエロく眺めることでかえってぐっと親近感が増し、海に住む生き物たちへの興味が湧くことに気づかされる。海中はまだまだ謎ばかり。種を越えて生きることについて考えさせられる。(8・20刊、二二二頁・本体七八〇円・光文社新書)