神奈川大学生協書籍部「あぁ、この人は本当に魚が好きなんだ」【書店員レビュー】

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神奈川大学生協書籍部「あぁ、この人は本当に魚が好きなんだ」【書店員レビュー】

[レビュアー] 神奈川大学生協書籍部

 魚好きが昂じて、かつては神奈川県は三浦半島の入口、逗子に料理店を構えるまでに至った著者が綴る魚エッセイ集である。我々に馴染みの魚から、釣り人や漁師しか知らないような魚にまで、ただ「こうすると旨い」だとか「こういう食べ方が通だ」というような表面的な物を超えて、著者とその魚との出会いであるとか、全国津々浦々でその魚がどの様に親しまれているのか、そしてその魚を取り巻く環境まで広く著者の一家言が及ぶ。

 1種類の魚について2ページほどが割り振られており、味わい深い挿絵も助けて、とにかく読み進めるほどに引き込まれてしまう一冊である。馴染みの魚には親しみを感じさせ、未知の魚についてもとにかく興味を沸かせてくれる。

 どの魚にも値段で差を付けなかったというまえがきの言葉からも伺える通り、本当に魚が好きな人が書いているのだ、と嬉しくなる。

 熱狂的でなくても、魚が好きな人、海や川が好きな人には是非手に取って頂きたい。魚と海と、時々川をずっと近くに感じさせてくれるような一冊。

トーハン e-hon
2016年10月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

トーハン

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