「50歳からの出直し大作戦」 “50代こそ最強”のワケ

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50歳からの出直し大作戦

『50歳からの出直し大作戦』

著者
出口 治明 [著]
出版社
講談社
ジャンル
社会科学/社会
ISBN
9784062194747
発売日
2016/09/21
価格
924円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

「50代こそ最強」と言い切れる理由

[レビュアー] 楠木建(一橋大学教授)

(1)滑った転んだをさんざん重ねてきて、(2)自分の弱みをイヤというほど自覚し、つまりは(3)自分の強みも知り抜いており、(4)世の中がそうそう自分の思い通りにならないという諦観と、(5)ま、どうにかなるさという楽観を併せ持ち、だからこそ(6)自分の土俵に腰を据えて、(7)真摯に社会での役割を果たそうとし、(8)世事の知恵と(9)それなりの人脈も持っており、(10)体力はまだまだ十分で、(11)子供も親の手を離れているから、(12)リスクも取れるし、(13)たとえ失敗してもニヤリと笑って受け止められる。

 考えてみると、こうした50代の傾向と特徴は起業をするのにやたらと向いている。出口治明『50歳からの出直し大作戦』は、60歳で起業した著者が50代で起業した6人と、人生と仕事について語った対話集。50代こそ最強、「人生の黄金期」と著者は言い切る。

 上場企業の経営者からネットのコイン商まで、商売のスケールはさまざまだが、タイトルに反していずれも「出直し」という感じがない。自然体で無理がない。人生の流れの中で起業という選択に行き着いている。

 若者に対する中年の絶対的優位がひとつだけある。それは、中年はかつて若者だったが、若者はまだ中年を経験していないということだ。生きのいい若者のITベンチャーも素晴らしいが、本書は人生半ばを過ぎた起業ならではのコクのある味わいがある。

新潮社 週刊新潮
2016年11月10日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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