東京湾に人工島がいくつあるかご存じだろうか。なんと70を超える。その中には一企業や米軍が占有する島、都心の下水を引き受ける島もある。それらは巨大都市東京に恩恵をもたらす一方、その負の部分を背負わされてきた。
本書は、「島スペシャリスト」と呼ばれる著者が、上陸可能な島すべてを探訪し、その来歴と現状を報告したものだ。膨張し続ける江戸・東京の歴史をなぞりながら、古い記憶を掘り起こし、この巨大都市の不思議さを東京湾から見つめ直そうとする著者のリポートは、とてつもなく新鮮で興味深い。新たな東京論の誕生である。(駒草出版・1800円+税)
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2016年11月6日 掲載
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