明文堂書店石川松任店「もう戻れない過去の思い出を推理する表題作。全7篇の傑作集。」【書店員レビュー】

レビュー

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遠い唇

『遠い唇』

著者
北村 薫 [著]
出版社
KADOKAWA
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784041047620
発売日
2016/09/30
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

明文堂書店石川松任店「もう戻れない過去の思い出を推理する表題作。全7篇の傑作集。」【書店員レビュー】

[レビュアー] 明文堂書店石川松任店(書店員)

コーヒーの染みが付いた葉書。学生時代、先輩から届いたその葉書に書かれた謎めいた暗号に秘められた真意とは・・・・・・「遠い唇」、宇宙人が《未知の》日本文学を語り合う様がとても愉しい異色作・・・・・・「解釈」など、全7篇の短篇ミステリ集。
特に、もう戻れない過去の思い出を推理する「遠い唇」が好きだ。作品内にただよう寂寥感がたまらない。温かくやわらかい文章の中に混じる寂しさに心を掴まれました。「しりとり」や「ビスケット」にもそういった寂しさがあります。もちろん寂しい話だけではありません。前向きになれる話や楽しい話も用意されている短篇集なので、お気に入りの作品がきっと見つかるはずです。
しかし、(いつものことながら)小説、そしてミステリに対する愛と知識の深さに驚かされます。

トーハン e-hon
2016年11月2日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

トーハン

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