児童書 『かぜ』イブ・スパング・オルセン作、ひだにれいこ訳

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かぜ

『かぜ』

著者
イブ・スパング・オルセン [著]/ひだに れいこ [訳]
出版社
亜紀書房
ジャンル
芸術・生活/絵画・彫刻
ISBN
9784750514871
発売日
2016/10/25
価格
1,430円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

児童書 『かぜ』イブ・スパング・オルセン作、ひだにれいこ訳

[レビュアー] 産経新聞社

 ■どこから? どこへ?

 赤い風船を風に飛ばされた姉と弟が、風を追いかけ緑の野原を駆けていく。

 風はどこから吹いてくるのだろう。風の行き先はどこなのだろう…。風は向かい風になって道行く人を難渋させたり、追い風になってツバメを軽々と空に飛ばしたりする。たこを飛ばせる「たのしい風」、パイプの火がつかない「いまいましい風」、ボーイスカウトのたき火を燃やす「親切な風」。吹く場所によって、風が好きな人も嫌いな人もいる。花や木、雲の気持ちにも思いをはせ、風が奏でる音楽にうっとりし、最後は風が運ぶ香りに道案内されて、2人はお母さんが待つ家に帰り着く。

 東のかなたの子馬、西のかなたのウミツバメ、北の人たち、南の人たちが遠い国で起こした風が、自分たちのところに吹き渡ってくるさまを想像する男の子。風に心を寄せると、広大な世界がつながってくる。

 デンマークの国際アンデルセン賞受賞作家の名作を新訳で刊行。幼いきょうだいの会話を通じて、自然の不思議さを教えられる。(亜紀書房・1300円+税)

産経新聞
2016年11月20日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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