周到な取材、抑制のきいた筆致
[レビュアー] 図書新聞
いまさら紹介することもないぐらいの話題の書。日本を乗っ取る(そして食い潰す)かのような日本会議についての本となれば売れて当然だろうが、しかし話題になった理由の一つは、著者の(いつもながらの)周到な取材と、相当に抑制のきいた筆致にあるように思われる。当然にも、著者は「基本的に日本会議の主張を好ましくないものだと捉えている」が、「ためにする」批判は差し控え、いまや「話題」に事欠かない稲田朋美ら関係者へのインタビュー取材の内容を記すところでも、「正確を期すために」著者の評価などを途中で挟むことはなく、厳密な一問一答形式での叙述が続く。そのうえで、憲法改正が視野に入った現在は正念場であり、その成否の動きがすべての鍵を握っていると結論づける。(7・8刊、二六四頁・本体八〇〇円・平凡社新書)