『それも一局』
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『それも一局 弟子たちが語る「木谷道場」のおしえ』内藤由起子著
[レビュアー] 産経新聞社
昭和を代表する囲碁棋士の木谷実九段(1909~75年)は育成にも力を注いだ。全国の小・中学生を神奈川県平塚市の自宅などに住まわせ53人のプロを輩出。孫弟子も含めた段位は五百段を超えるという。
タイトル戦を席巻した大竹英雄、趙治勲、小川誠子やアマ囲碁界を支える関係者証言から、道場での切磋琢磨(せっさたくま)の日常生活を明かしていく。師との思い出とともに、活発すぎる年齢の子供=弟子たちを母代わりで見守った夫人の献身ぶりが異口同音に語られている。
相撲界や落語の世界にも入門制度は存在する。それらとはまったく異なった指導法を、題名で言い表した。(水曜社・1600円+税)