明文堂書店石川松任店「手を伸ばしただけでは届かない場所で輝く、憧れのような存在」【書店員レビュー】

レビュー

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自生の夢

『自生の夢』

著者
飛 浩隆 [著]
出版社
河出書房新社
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784309025216
発売日
2016/11/29
価格
1,728円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

明文堂書店石川松任店「手を伸ばしただけでは届かない場所で輝く、憧れのような存在」【書店員レビュー】

[レビュアー] 明文堂書店石川松任店(書店員)

触れた物質を一瞬で極微に分解してしまう、という灰洋(うみ)。海洋の百パーセントと陸地の九十九パーセントは灰洋と化し、人類も0・一パーセントを残して灰洋に溶けた。灰洋が地球を支配する世界で暮らす人々をたびたび襲う災禍《海の指》。それがふたたび起こった時、そこに現れたのは二年前に事故死したはずの男だった……「海の指」、著名な作家にして、七十三件の殺人を告白し自裁した稀代の殺人者《間宮潤堂》と〈忌字禍〉との言葉を巡る壮絶な闘争……「自生の夢」など、全七篇。想像を絶するような作品が並んでいます。
本書は、天才が紡ぐ奇跡のような一冊である(言葉への畏れを鋭く書いた作品に使う表現としては、どうなのかな、という気もしますが……)。これが過剰な褒め言葉か掛け値なしの評価かは読んで判断していただくしかないのですが、すくなくとも私はこの評価でも足りないくらい優れた作品だと思っています。
『自生の夢』は(私にとって)、手を伸ばしただけでは届かない場所で輝く、憧れのような存在です。理解という点で心許ない私を、『自生の夢』が受け入れてくれるか分かりませんが、そばに置いてほしい。そんなことを切に願いたくなる一冊です。

トーハン e-hon
2016年12月1日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

トーハン

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