1日のパフォーマンスを上げるために朝やるべきこと

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結果を出し続ける人が朝やること

『結果を出し続ける人が朝やること』

著者
後藤, 勇人
出版社
あさ出版
ISBN
9784860639549
価格
1,430円(税込)

書籍情報:openBD

1日のパフォーマンスを上げるために朝やるべきこと

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

「朝型勤務」を導入している伊藤忠を引き合いに出すまでもなく、朝の時間の重要性については広く知られているところ。『結果を出し続ける人が朝やること』(後藤勇人著、あさ出版)の著者も、その効能を実感しているようです。

ブランディングプロデューサーとして、さまざまなサポート業務を行なってきたという人物。「グレコ」で知られるギターファクトリー、フジゲンの創業者である横内祐一郎氏の総合プロデュースや、ミスワールド日本代表のブランディングサポートなど、多くの方の成功をサポートしてきたのだとか。

本書では、こうした活動を通して出会ってきた、成功者と呼ばれている人たち、結果を出し続けている人たちが実践している朝の使い方のなかから、より効率的で効果の高いもの、さらに誰もがすぐに始められることを、わかりやすく簡潔にまとめています。(「はじめに」より)

第2章「仕事で効率よく結果を出す朝のワーク」に焦点を当ててみましょう。

その日の目標を3つだけ決める

やりたいことや、やらなければならないことがたくさんあったとしても、残念ながら時間は有限。1日にできることは限られているだけに、その日やるべき目標を3つだけ設定することが重要なのだと著者は記しています。大きな目標ではなく、絶対に達成可能なレベルでそれを定めることが重要だというのです。

たとえば、たまっている書類をその日のうちに片づける、数日後に訪問するクライアント先に渡す資料を揃える、プレゼンテーションの原稿をつくるなど、目標を「がんばれば絶対にできること」にするということ。ちなみに、「3つ」に限定することにも意味があるようです。

数多く定めると、結果的には達成できなかったり、成し遂げられたとしてもエネルギーが分散してしまい、ひとつひとつのクオリティが下がってしまいがち。しかし「達成すること」が目的なのですから、そう考えると3つを厳選することが重要だというわけです。

そして目標が決まったら、紙やノートに書き出し、心のなかで「きょうはこの3つを必ず達成する」と宣言してみる。そうすることで力が湧いてきて、「目標達成のためになにをすべきか」の輪郭がうっすらわかり、行動の道順が見えるようになるというのです。

目標を立てて宣言すると、必要な情報が目や耳にどんどん入ってくるようになるもの。そこで、その情報に基づいて行動すればいいだけの状況が、自然とできあがるということ。「目標を宣言した時点で、目標は半分達成したようなもの」だとすら著者はいいます。

なお、3つの目標を決めるのは、早ければ早いほどいいとか。なぜなら、その3つを達成するために、その日1日をどう過ごせばいいか、タイムスケジュールを考える必要があるから。そして、いつ突発的なことが起こって時間がなくなるかわからないので、タイムスケジュールは、すべて前倒しで考えるのがコツだそうです。(44ページより)

時間割で行動を可視化する

多くの人は、決まっている予定をしっかりこなし、結果を出そうとするもの。しかし結果を出す人は、予定が入っていない時間を有効に使うことで成果を生み出しているのだそうです。彼らが欠かさないのは、「自分はきょう、どれだけの時間を自由に使えるのか」を朝イチで把握し、行動計画を立てること。

いってみればスキマ時間使いのプロだというわけですが、予定が入っていない時間を把握するためには、「時間割」をつくることが効果的だそうです。時間割をつくることで、その日の自分の行動を可視化するという考え方。

まず最初にすべきは、「その日やるべきこと」を箇条書きで書き出すこと。そのなかから、取引先とのアポイントメント、そのための移動時間、準備時間など、時間が決まっている予定を書き出し、時間割に入れ込んでいくわけです。そして次に、忘れてはいけない雑務や電話、朝に決めた3つの目標を書き出す。

すべて書き出したら、そのなかから絶対にやり遂げなければならない大事なことをピックアップし、時間割に割り振ります。続いて、残りのやるべきことを緊急性や重要性を考慮しながら優先順位をつけ、優先度の高い順に時間割に割り振っていくのです。

なお緊急度の高い案件は、始業と同時に取りかかれるように朝イチに配置。じっくり腰を据えて話をしなければならない大切な電話があるなら、落ち着いて話を聞ける時間帯を選ぶことが大切。案件にきちんと対応するために準備が必要なら、その時間も計算に入れて考えるべき。

優先順位のつけかた
1:緊急性を見る
2:重要度を見る
3:生まれるキャッシュ(利益)・成果の大きさを見る
4:かかわる相手のレベル(時間がかかりそうか、少ない時間でできそうか)を見る
5:将来性を見る
(51ページより)

やるべきことを書き出し、優先順位を決めることは、その日の仕事を効率よくスムーズに進行させ、かつ生産性を高くするのに有効だといいます。そればかりか、時間割の確認と同時に、「自分がその日なにをすべきで、なにを考えなければならないのか」、頭を整理することにもつながるそうです。(48ページより)

「やることリスト」をボードに貼る

著者いわく、結果を出す人は、その日にすべきことを明確にしてから仕事に入るもの。「これとこれとこれをやって…」などと頭のなかで思い浮かべるだけではあいまいになってしまうため、小さな事柄も含め、その日にやるべきことをすべて書き出し、常に目に入る場所に貼り出すのがいいそうです。

3つの目標(絶対にやり遂げること)、その日に「やること」などを書き出して「やることリスト」にまとめ、デスク前のボードなど、目に見える場所に貼っておくということ。それを実践することによって、さまざまなビジネスが生まれたり、新しい商品アイデアが生まれたりと、多くの恩恵をこうむることができるといいます。(52ページより)

一人戦略会議で仕事を差別化する

ビジネスにおいて、戦略は不可欠。戦略があるからこそ、結果を出すことができるわけです。そしてそれは、個人の人生でも同じことだと著者。だからこそ、理想の人生を生きるために、毎朝、その日1日の戦略を立てることが大切だというのです。1日をどのように過ごすか、理想の自分をイメージしながら行動の作戦を練るということ。

戦略を立てる際には、すべきことだけでなく、しないことを決めるのも大事。やるべきことを決めるとは、裏を返せば「やらないこと」「やれないこと」を決めるということだという発想です。

なお、「他の人がやっているから自分もやる、やらなければならない」という人がいますが、重要なのは、「他の人がやっていること」が、必ずしも自分にとって「やるべきこと」であるとは限らないということ。結果を出す人は、組織に属していても、独立していても、無理に人に合わせることはしないのだと著者はいいます。「自分がすべきこと」を粛々とこなし、それで結果を出しているということ。いわば、仕事の差別化をしっかりしているわけです。

他人との差別化を図るために必要なのは、「自分はなにをしないか」という戦略。「戦略を練る」というと、力を入れることにばかり注目してしまいがち。しかし、「なにをしないか」を決めることのほうが大切だというのです。そんな著者は、しないことを決める時間を、「朝の一人戦略会議」と呼んでいるそうです。

「やることリスト」にすべきことを書き出したら、「きょうはやらない」「手を出さない」ことを決める番。「やめるもの」を決めるということは、「なにをしないか」を決めるということ。具体的には、自分がやるべきではないこと、人に頼めることをピックアップし、やらないものに×印をつける。そして、やることリストに残った項目に、やるべき順番の数字を入れればいいということです。

一人戦略会議は、自分自身と向き合い、客観的に自分を見る時間。毎日続けることで、ベストな人生の戦略が見えてくるのだと著者はいいます。(54ページより)

デスク周りを毎朝必ず片づける

デキる人のデスクはキレイに片づいているもの。一方、仕事の遅い人やクオリティが低い人のデスクは、ものが散乱して、お世辞にもキレイとはいえないといいます。しかし汚いデスクは自身の仕事のクオリティを下げるばかりか、周囲の人にも不快感を与えてしまいます。

だからこそ著者は、仕事をうまく回すために、毎朝必ずデスクを片付けることを勧めています。その姿勢が、すばらしい現実の成果を生み出すというのです。整理整頓されていないと、せっかく仕事がはかどっていても、余計な手間や感情に時間を取られてしまいます。でも、ゴチャゴチャした状況にイライラしてしまうのではもったいない。デスクを片づけるという行為は、仕事に適した環境を整えるということなので、決して無視できないというわけです。(62ページより)

このように、書かれているのはシンプルなことばかり。無理なく実行できるはずなので、参考にしてみてはいかがでしょうか?

(印南敦史)

メディアジーン lifehacker
2016年12月20日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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