<東北の本棚>批判的思考で世相語る

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科学者、あたりまえを疑う

『科学者、あたりまえを疑う』

著者
佐藤文隆 [著]
出版社
青土社
ジャンル
自然科学/自然科学総記
ISBN
9784791769025
発売日
2015/12/18
価格
2,052円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

<東北の本棚>批判的思考で世相語る

[レビュアー] 河北新報

 山形県鮎貝村(現白鷹町)出身の物理学者がさまざまな出来事に対し、科学的、物理学的な考察を加えたのが本書だ。
 総選挙における世論調査や戦後70年にちなんだ歴史報道、安全保障関連法案を巡る採決と国民によるデモ行動など、世相を反映した話題に触れつつ、ヨーロッパを中心とする量子力学の歴史全般を紹介している。
 戦後70年から、一般相対性理論などで知られるユダヤ人物理学者アルベルト・アインシュタイン(1879~1955年)がドイツから亡命したいきさつに展開したくだりは興味深い。
 科学と民主主義を主題にした章では、「民主主義の前進のための多方面的な方法化の一つとして科学もあるのではないか」との見解を示す。
 月刊誌「現代思想」に2014年9月~15年11月に連載したエッセーを加筆、再録してまとめた。科学的な営みを「クリティカル・シンキング、批判的思考」と重ねる姿勢が全編に貫かれている。
 物理や科学の知識がある人に勧めたい一冊。他の書籍からの引用が随所にちりばめられており、読書案内としても読める。
 著者は1938年生まれ。京大理学部卒。同大名誉教授。同大理学部長、日本物理学会会長、日本学術会議会員などを務めた。
 青土社03(3294)7829=2052円。

河北新報
2017年1月8日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

河北新報社

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