『大学入試問題で読み解く 「超」世界史・日本史』
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受験で蒸発してしまった知識よ、今再び。赤本、青本より軽いです
[文] 片山杜秀(慶應義塾大学教授)
――いかがでしたでしょうか。
片山 十代後半で問われるにはあまりに重量級の、言わば世界観が問われるようなものがけっこうありました。いくら高校や予備校で習っても、政治、経済、宗教、社会、軍事まで、全部が絡むような、大きな歴史の歯車そのままの大問を、若くして味わいきるのは至難の業と申せましょう。その意味で、大学入試の歴史の良問は、やはり本当は大人のためにあると言いたいですね。大人になって、この国の政治や経済や社会のよさや悪さ、世界情勢の複雑怪奇さを受験生時代よりははるかに実感できるようになって、どうしてそうなっているのかを理解したくなってきたとき、はじめて歴史を自らの欲求として学びたくなるものではないですか。
――歴史は子供のものではないということですね。
片山 そうなんですよ。そして歴史を知るためには大学入試問題に挑んでみるのはとてもいいと思いました。思考や知識の整理を迫られるし、できなかったからといって不合格になるわけではないから、何もプレッシャーを感じる必要はありません。
いわゆる「赤本」や「青本」など、大学入試問題とその懇切丁寧な解説の出ている受験参考書ですが、あれを大人の教養書として、「頭の体操」の本として、通勤や旅行の友にするのもありなのではないでしょうか。しっかりした大学ほど、出題のテーマを現代の最新の出来事と深いところで絡めてきますから、アクチュアルに歴史を学ぶにはまさにうってつけです。ただし「赤本」や「青本」は、持ち歩くにはちょっと重いですけど(笑)。
(「おわりに」より)