【児童書】『3日ずつのおくりもの』レミ・クルジョン作、こだましおり訳

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

3日ずつのおくりもの

『3日ずつのおくりもの』

著者
Courgeon, Rémi, 1959-児玉, しおり, 1959-
出版社
文溪堂
ISBN
9784799902004
価格
1,650円(税込)

書籍情報:openBD

【児童書】『3日ずつのおくりもの』レミ・クルジョン作、こだましおり訳

[レビュアー] 産経新聞社

 子うさぎリトルのひいおじいさん、ホープは顔はしわくちゃ、腰も曲がっているが、とても長寿だ。なぜなら、みんなが毎年誕生日プレゼントとして「3日ずつ よぶんに ながいきしてほしい」と願ってくれているから。

 でもホープじいさんはある日、畑仕事を手伝うリトルにこう告げる。「3日ずつ ながいきするように ねがうのは、もう やめてくれ」。次の誕生日には本やCDやDVDがいい、もう十分長生きしたよ、と。

 みんなはホープじいさんの願いを聞き入れた。じいさんはリトルに、大好きな本や音楽や映画のことを、楽しそうに話してきかせてくれた。

 見送る者と見送られる者。家族や友人たちには長生きしてほしいと誰もが思う。でも、充実した生とは何か、尊厳のある最期とは…と考えると、容易に答えは出ない。フランス人の作者は、軽快なタッチの絵と温かい物語によって、生と死をめぐる問いを読者に投げかけている。親子で考えるきっかけになりそうだ。(文溪堂・1500円+税)

産経新聞
2017年1月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク