昭和62年の夏、とある田舎町の中学に通うタカシが体験する特別な一夜を描いた小説。勉強もスポーツもダメ、不良にもなれないタカシたち4人は、町に1軒だけのビデオ店に人気AV女優がサイン会に来るという噂を耳にする。その日は姉が婚約者を連れて帰ってくることになっていたが…。
公開中の同名映画で監督デビューを果たした著者の2作目の小説で、心と体のアンバランスさに揺れる14歳の実像が、コミカルなタッチでテンポよく描かれる。「その他大勢の中でもちょっと下のほう」という主人公の立ち位置が切なく、何とも身につまされる。(幻冬舎・1300円+税)
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2017年1月15日 掲載
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