【聞きたい。】白石あづささん『世界のへんな肉』 めくるめく肉食文化

インタビュー

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世界のへんな肉

『世界のへんな肉』

著者
白石 あづさ [著]
出版社
新潮社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784103504719
発売日
2016/10/31
価格
1,296円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

【聞きたい。】白石あづささん『世界のへんな肉』 めくるめく肉食文化

[文] 産経新聞社


白石あづささん

 ■めくるめく肉食文化

 シカ、イノシシ、山鳩…とジビエを愛する食通は多いが、世界にはまだ、めくるめく肉食文化がある。

 100を超える国と地域を訪ね歩く中で遭遇した“へんな肉”はラクダ、キリン、リャマにアルパカ、アルマジロ、イグアナなど総勢21種。見た目がグロテスクな料理も「好奇心が強いので、もしかしたらおいしいかも、と思ってしまうんですよね」。肉を通して人々と交わり、世界を見る切り口が面白い。

 オススメは、南米グアテマラで食べた「アルマジロのブラウンシチュー」。店主に調理前の肉塊を見せてもらうと、殻と同じ蛇腹の筋が、身のゼラチン層にもついて、まさにアルマジロだったそう。「煮込むとふわふわでおいしいんです。豚の角煮みたいな感じで」

 逆に最もまずかったのが、バルト三国はリトアニアで出合った「ビーバーのプラム煮込み」。川魚のような臭みがすごいとか。ケニアでもらった「キリンのジャーキー」もカビ臭かったそうだが、「キリンの煮込みがおいしかったという人に会ったので、調理次第かも」と言う。確かに肉の処理や調理法にもよるし、味覚は人それぞれだ。

 日本人が食べてきた鯨肉も、海外で「へんな肉」視されることは多い。でも南極ツアーに参加した際、こんな経験をしたという。「朽ち果てた巨大なドラム缶があったんです。それを見てカナダ人のガイドさんが、かつて欧米人が鯨油を取る工場をつくり、油を絞っただけであとは全部捨てていたんだと解説した。『でも、日本人は肉を食べて、ヒゲまできちんと使ったんだよね』と。そこにいた西洋人は全員、だまりこんじゃいましたね(笑)」

 普段は肉よりむしろ、「野菜や果物の方が好き」と笑う。「おなかこわさないの?といつも聞かれます。まあ焼いたり煮たりしてるから大丈夫だと思う。寄生虫も死ぬだろうと」(新潮社・1200円+税)

 黒沢綾子

  ◇

【プロフィル】白石あづさ

 しらいし・あづさ 日本大学芸術学部卒。地域紙記者を経て、約3年間の世界放浪に出る。帰国後はフリーライターとして旅行誌やグルメ誌などに執筆。著書に『世界のへんなおじさん』(小学館)。

産経新聞
2017年1月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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