『田中角栄と中曽根康弘』 早野透、松田喬和著

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田中角栄と中曽根康弘 戦後保守が裁く安倍政治

『田中角栄と中曽根康弘 戦後保守が裁く安倍政治』

出版社
毎日新聞出版
ISBN
9784620323978
発売日
2016/11/30
価格
1,944円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『田中角栄と中曽根康弘』 早野透、松田喬和著

[レビュアー] 苅部直(政治学者・東京大教授)

 著者の早野透・松田喬和(たかかず)は、朝日新聞・毎日新聞のベテラン政治記者として知られる。ともに田中角栄の首相時代に番記者を務め、その後も早野は引退後の田中、松田は中曽根康弘を担当した。その二人が一九七〇年代以降を中心に、自民党政治の来し方を語りあった本である。

 遠目で見るときれいではないが、いったんその懐に飛び込めば、たちまち魅了されてしまう。そんな政治家を松田は「あんパン型」と評して、田中がその典型だと言う。

 田中にしても中曽根にしても、国会や記者会見とは異なる、個人どうしのつきあいの空間で、実に魅力的な個性を発揮する。番記者がその空気にふれつつ政治家と関わってきたようすが、二人の対話からよくわかる。

 実は「あんパン型」という比喩(ひゆ)は、田中の秘書兼愛人であった女性が、ある政治家を「遠目の富士」とたとえたのに対して、その対極にいるタイプとして挙がっている。富士山は遠くから見れば美しいが、近づけばがれきの山。さて、そう呼ばれた政治家とはいったい誰でしょう。答は読んでのお楽しみ。

 毎日新聞出版 1800円

読売新聞
2017年1月22日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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