『夜行』
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【浅野加奈子・札幌本店】
森見さんの小説は、いつもお酒みたいだと思う。読んでいるうちに、いつの間にか、頭の中がふわふわとしてくるからだ。今までの森見作品は、独特の美しく心地よい言葉づかいで酔わせるというものだったが、今回は読み手の予想をゆらゆらとかわしていく物語の展開に、見事に酔わされた。最後まで読んで、すぐに冒頭から読み直して、そういえばあれはなんだっけ、とページをぐるぐると辿ってしまう。こんな読み方してしまう小説、なかなかない。ぐるぐるぐるぐる……。ああ、気持ちいいなあ。
【松本優子・佐賀店】
“あの夜”に囚われているのは貴女か私か。滴る夜に魅了される。百物語形式で語られる話は、各話曖昧な締め方が怖すぎて、目の前で話しているこの人は本当に友人なのかとぞわぞわする。鮮やかで果てしなく広がる夜の描写と艶やかな語り口。間違いなく登美彦氏の新たな傑作誕生です。