外資系「資料作成術」、ヒットのワケ

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外資系「資料作成術」がヒットするのは――?

[レビュアー] 田中大輔(某社書店営業)

 前回のちきりん自分の時間を取り戻そう』(ダイヤモンド社)に続き、今回も生産性について書かれた本を紹介する。マッキンゼーで人材育成、採用マネージャーを務めていた伊賀泰代の『生産性』という本だ。10万部を突破した前著の『採用基準』(ダイヤモンド社)では、マッキンゼーがなぜ全員にリーダーシップを求めるのかを解説していた。『生産性』ではマッキンゼーの圧倒的な生産性の高さの秘密を紹介している。『自分の時間を取り戻そう』が個人の生産性を上げることや、生活全般においての生産性の話をしていたのに対し、『生産性』ではビジネスに主眼を置き、会社として、そしてチームとして生産性を上げるにはどうしたらいいのかについて書かれている。

 日本の企業と、マッキンゼーのような外資系企業で、生産性の違いが如実にでるのが資料の作成方法のようだ。本書のなかではアウトプットのイメージ(ブランク資料)を作ってから、情報収集に取り掛かるという資料作成の要点が紹介されている。スタートする前にゴールをイメージしておくというのは、資料作成に限らず、どんな仕事をしていく上でもとても大事なことだと思った。

 ビジネス書の中では「外資系コンサルティング会社」や「マッキンゼー」というのはひとつのマジックワードである。本のタイトルにそういった言葉が入っているものにはヒット作が多い。なかでも山口周外資系コンサルのスライド作成術』(東洋経済新報社)や、森秀明外資系コンサルの資料作成術』(ダイヤモンド社)など、その多くは資料作成に関するものであるということにこの本を読んで気がついた。

 マッキンゼーにおいても『マッキンゼー流図解の技術』、『マッキンゼー流プレゼンテーションの技術』(ともにジーン・ゼラズニー・著、数江良一/菅野誠二/大崎朋子・訳、東洋経済新報社)という、2004年に発売されて以来、10年以上売れ続けている名著がある。これも思えばプレゼン資料作成に関する本であった。外資系コンサルやマッキンゼーの資料作成本には今後も注視していきたい。

新潮社 週刊新潮
2017年2月16日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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