『猫俳句パラダイス』 倉阪鬼一郎著

レビュー

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猫俳句パラダイス (幻冬舎新書)

『猫俳句パラダイス (幻冬舎新書)』

出版社
幻冬舎
ISBN
9784344984493
発売日
2017/01/28
価格
842円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『猫俳句パラダイス』 倉阪鬼一郎著

[レビュアー] 宮部みゆき(作家)

 テレビのバラエティ番組を契機に、俳句がちょっとしたブームになっている。一方で今は空前の猫ブームだともいう。ならばその両方の魅力を堪能できる本書はブームの最強カクテルだ。著者の倉阪さんはこうしたコンセプトの立った俳句アンソロジーを編む名手で、この新書版でも本書が三冊目。古典的名句から現代のカジュアル俳句や川柳まで目配りは幅広い。わかりやすくて楽しい解説についてゆけば、誰でも手軽に俳諧の世界に親しむことができる。

 たった十七文字で世界を描き、日常の風景を切り取り、心の動きをすくい上げる。俳句は一瞬の芸術であり、名句はその一瞬を永遠に変える魔法の力を持っている。世の猫好きの皆さんは心してページを繰ってください。次から次へと飛び出す猫、猫、猫俳句の愛らしいこと面白いこと。もう魔法にかかりまくりだ。私も一句ひねってみたくなり、さんざん頭を悩ませましたが、空振りでした。

 そこで一句引用を。

猫の子の手を桃色に眠りけり仲寒蝉(なかかんせん) 

 寝息が聞こえてきそうではありませんか。

 幻冬舎新書 780円

読売新聞
2017年2月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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