歌う生物学者・本川達雄
[レビュアー] 図書新聞
動物の体のつくりには、住んでいる環境、生き方、その動物の歴史が反映されている。それぞれが、生活環境のなかで独自の世界をもっている。同じ空を飛ぶ生き物でも、鳥と昆虫の体のつくりがまるで異なっているように。本書は生存戦略の結晶ともいえる生き物のデザインや生態を、三四門あるうちの代表的な五つの門、刺胞動物門、節足動物門、軟体動物門、棘皮動物門、脊索動物門を取り上げる。サンゴ礁、貝、昆虫、ヒトデなど。あまりに多様な生物の世界には驚かされるばかりだ。なお、著者は講義の際、授業の終わりにその回にとりあげた動物の「褒め歌」を歌っていたという。各章末には歌詞が載り、巻末には楽譜まで掲載されている。是非付録にCDもつけてほしかった。(2・25刊、三三六頁・本体八四〇円・中公新書)