官邸めがけてカジノのチップを投げていたホームレス男性。それは青森にIR(統合型リゾート)を誘致しようとしたかつての名物町長だった。一方、福岡で起きた一家死亡事故の背景に、首相のおひざ元に建設された日本初のカジノとのつながりが見えてくる。東西新聞社の記者たちは、各地で地道な取材を重ね、IR利権をめぐる闇に切り込んでいくが…。
昨年末に成立したIR推進法がもたらす(かもしれない)近未来をいち早く描き出す社会派エンターテインメント。〈元凶にあるのは、各人が勝手に思い込んだ『バラ色の未来』という幻想です〉(光文社・1600円+税)
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2017年3月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです