『《統計から読み解く》都道府県ランキングVol.2』 久保哲朗著

レビュー

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『《統計から読み解く》都道府県ランキングVol.2』 久保哲朗著

[レビュアー] 宮部みゆき(作家)

浮上する県ごとの特質

 表紙に「地域マーケティングに役立つ1冊」とある。vol.1が一昨年10月に刊行されており、本書はvol.2である。vol.1のときは、たぶん、マーケティング用の統計本など私が読んでもわからないとスルーしていたのだと思う。で、遅まきながら今回は強力にお勧めするのだが、これはまず間違いなく著者や版元の意図には沿わない方向のお勧めだ。そもそも私はマーケティングにも統計学にもまったく疎い。本書を仕事の資料に活用したい――という読者の方にとっては、この一文は書評として参考にならないことを先にお詫(わ)びしておきます。

 とにかく本書は面白い。手っ取り早く言うならあの「トリビアの泉」であり、「秘密のケンミンshow」だ。Chapter1では都道府県別に様々な事物の消費量・行動時間をランキング紹介し、その都道府県の個性や傾向を分析している。Chapter2では事物の方を項目別にランキングし、相関データとして反比例する項目のランキングも示してある。たとえば、あんまり個性がないと(しばしば県民自身に自嘲的に評される)埼玉県。本書のデータによると「自転車購入費」が全国1位で、スポーツ人口が多いアクティブな県なのである。雪が多く冬が長い北海道が「25歳以上編み物・手芸人口」で全国1位なのは室内で過ごす時間が長いからだろうとピンとくるが、その北海道が「自動車保有台数」では35位というのはけっこう意外でしょう。項目別ランキングの方では、「梅干し消費量」全国1位は和歌山県。紀州梅は味と品質で全国制覇する以前に、まず地元で愛されているのだ。「カップ麺消費量」1位が青森県で、「アイスクリーム・シャーベット消費量」1位は石川県(最下位は何と沖縄県)。シンプルなデータの数々からこの国の多様性と特質が浮かび上がってくるのと同時に、種々の問題点もうっすらと、しかし生活感を伴って見えてくる。中高生には、社会科のレポートの素材にうってつけかも。

 ◇くぼ・てつろう=1970年生まれ。東大文学部卒。システムエンジニアとして統計サイトを複数運営。

 新建新聞社 2500円

読売新聞
2017年3月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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