『キャスターという仕事』 国谷裕子著

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キャスターという仕事

『キャスターという仕事』

著者
国谷 裕子 [著]
出版社
岩波書店
ISBN
9784004316367
価格
907円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『キャスターという仕事』 国谷裕子著

[レビュアー] 三浦瑠麗(国際政治学者・東京大講師)

 23年間にわたりNHKクローズアップ現代の顔を務めた国谷さんの本である。ニュースの現場を最大限尊重しつつ、インタビューを本領とする彼女らしい、素晴らしいエピソードが詰まっている。

 白眉は第7章、殊に石原慎太郎氏に切り込んだ部分かもしれない。生放送の真剣なインタビューの難しさを部分的に知っている身として、いかに大変なことか、よく分かる。

 とはいえ読者が注目するのは、菅官房長官との平和安保法制をめぐるインタビューで「しかし」と根問いした思いの告白だろう。反論は日本文化に馴染(なじ)みにくく、居心地が悪い。しかし、国谷さんが言うように番組には必要なものだ。けれど、私が改めてそのやり取りを読んだとき、お二人はすれ違っていた。質問者によって埋められるべき、茶の間と世界との隔たりはかえって広がっていた。インタビューである以上、聞き手は引き出したいものを知っていなければならない。分からないものは引き出せないからだ。

 もし国谷さんに問いかけたいことがあるとすれば、それはあったのでしょうか、ということだ。ふと、そう考えた。

 岩波新書 840円

読売新聞
2017年3月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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