「フリーランス」になりたいなら知っておきたい基本的なこと

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前田さん、主婦の私もフリーランスになれますか?

『前田さん、主婦の私もフリーランスになれますか?』

著者
前田めぐる [著]
出版社
日本経済新聞出版社
ISBN
9784532319120
発売日
2017/02/25
価格
1,404円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

「フリーランス」になりたいなら知っておきたい基本的なこと

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

前田さん、主婦の私もフリーランスになれますか?』(前田めぐる著、日本経済新聞出版社)というタイトルを見ると、主婦に向けたものだと思われるかもしれません。しかしこれは、著者がフリーランスとして独立したばかりのころ、ある専業主婦から聞かれたこと。

いってみれば本書は、その主婦のようにフリーランスを意識しているすべての人のために書かれているのです。著者は、フリーランスのコピーライター・プランナー。実母の在宅介護・在宅医療と仕事の両立も体験しているため、「介護離職」に歯止めをかけるべく、在宅勤務の推進に向けた活動を行っているのだそうです。

ライフイベントと両立しながら働くには、それなりの覚悟や努力も必要です。
育児や介護に限りません。
ほかにも、心や身体の病気、事故、結婚、パートナーの転勤・転職、引っ越し、離婚など、さまざまなライフイベントが降りかかってくることでしょう。
本書では、そうした働きにくさとの付き合い方にも触れています。 (「はじめに」より)

しかしフリーランスを意識するのであれば、まずは基本事項を確認しておく必要があるはず。そこで、きょうは序章「そもそも、フリーランスって?」を確認してみましょう。

フリーランスは、独立? 起業?

「会社を辞めて独立・起業」というフレーズが一般的であることからもわかるように、独立と起業はひとくくりにされがち。しかし基本的に、独立と起業は違うと著者は記しています。

たとえばデザイン事務所など組織のなかで働いていた人が退職し、広告事務所や代理店、一般企業などの仕事を個人のデザイナーとして請け負うというような場合は「独立」。起業家ではなく、フリーランス(freelance)と呼ばれます。

つまりフリーランス(フリーランサー)とは、組織に属さず、案件ごとに企業と契約して働くかたち、あるいはそういう働き方をする人のこと。多くの場合は、知識や技能を生かした働くプロフェッショナルであるわけです。

一方の起業家とは、独自のアイデアを生かして自ら事業を興す(起業する)人のことで、アントレプレナー(entrepreneur)とも呼ばれます。おもにベンチャー起業家を指しますが、単に会社をつくることを起業と呼ぶケースも。

なお、こうした区分けが曖昧になってきているのは、人々の働き方そのものが多様化しているからだと著者は指摘しています。

・会社員を続けながら、休日は週末起業家として自宅で働く
・法人を顧客にウェブ制作の仕事をしながら、起業の相談に乗るフリーランス
・会社を辞めてネットショップを開業し、法人化の起業準備をしながら、フリーランスとしてクラウドソーシングでゲームアプリもつくる

などなど、ひとつの働き方にこだわらず、同時進行でいろいろな働き方をする人も珍しくなくなってきたということです。(14ページより)

主婦とフリーランスは両立できる?

さて、冒頭の「主婦もフリーランスで働けますか?」と聞かれたというエピソードですが、この問いに対する著者の答えは「イエス」。いうまでもなく、自身も主婦業をしながら、ずっとフリーランスで働いてきたからです。

大学卒業後、企画制作会社で4年間勤務し、円満退社後に結婚した年にフリーランスで独立しました。7年目と11年目に2児を出産し、産休も育休も好きなように取りました。子どもが大きくなってからは、母を迎え、在宅介護も体験しました。独立して28年目です。(17ページより)

収入が一定しないというデメリットはあるものの、自分の時間を好きなように使えるのは、フリーランスの最大の魅力。「どんな仕事をするか」「いつ、どれくらい働くか」についても成果さえあげれば、納期さえ守れば、誰に文句をいわれる筋合いもなし。働き方の主導権は、自分にあるということです。

とはいえ、責任が伴うのは当然の話。子どもの病気や天候による保育園の休園など、思いがけないことが起きたとしても、「子供が熱を出したので、納期に間に合いません」という話は社会的に通用しないわけです。ただクライアントの信頼を失うだけ。

しかし逆にいえば、仕事を前倒ししてなるべく早く終わらせるか、納期の厳しい仕事は受けないと決めておくなど、自己裁量で働ける環境を楽しめるのであれば、フリーランスに向いていることになります。(17ページより)

フリーランスでどんな仕事ができる?

フリーランスとして独立しやすいのは、コピーライター、ライター、デザイナー、エンジニアなど制作系の仕事。また、研修会社で働いていた講師、コンサルタント会社で働いていたコンサルタントなど専門性の高い仕事も、独立してフリーランスで行うことが可能。また、士業もフリーランスでできます。あるいはユニークな商材があるのなら、EC(ネットショップ)経営という手段も。

とはいえ、プロのスキルがあったり、人に教えることができたり、難しい資格を持っていたり、珍しい商材を持っていたりしないとフリーランスになれないというわけではないとも著者はいいます。たとえばコンサルタントというと、MBA(経営学修士)を持っていて、一流のコンサルタント会社で場数を踏んで…といったビジネスエリートを想像するかもしれません。しかし、「コンサルティング=顧客の悩みを解決する仕事」と考えれば、間口はぐんと広がるわけです。

他の仕事でも同様で、自分のしたいことと社会のニーズが一致すれば、それを仕事にできるということです。(19ページより)

フリーランスで働くメリット・デメリット

自由に時間を使えるということは、自分で時間をコントロールしなければならないということでもあります。そして自分で価格を決めて、好きな仕事をできるということは、定額の給与が毎月入る保証がないということ。「属さない自由」は、安定と引き換えに手に入るもの。いわばフリーランスで働くということは、メリットとデメリットが表裏一体だということでもあるのです。

メリット
・時間にとらわれない 仕事日、休日、休息時間。自由に自分で決めることができる
・組織にとらわれない 上司の許可、社長の決済が不要。したい仕事を自由にできる
・価格を自分で決められる 値上げも値下げも、自分で決められる
・成果はすべて報酬になる がんばって成果をあげれば、その報酬はすべて得られる
・人間関係に悩まされない 理不尽なことを言われてガマンする必要がない。社内営業をしなくてもいい。尊敬する気の合う仲間と働ける。
・自分らしく働ける 仕事のポリシー、ビジョンなど自分らしさを大切にして働ける
(22ページより)

デメリット

・代わりがいない 病気やトラブルなどピンチのとき頼る同僚がいない
・管理者がいない 時間管理、進行管理のロスはすべて自分に返ってくる
・保証がない 毎月決まった給与が保証されているわけではない。会社員のような福利厚生が整っていない。ローンなども借りにくくなる。
(23ページより)

このように、自由で気楽なことだけではないわけです。にもかかわらず、なぜフリーランスで働くのかといえば、「属さないことの自由」があるから。自分の持っている知識やスキル、強みを社会に役立てながら、自分らしく働き続けることができるということ、それがフリーランスの楽しみであり、やりがいなのです。(22ページより)

以後の章では、なにから始めればいいのか、オリジナル・強みを持つことの重要性、情報発信の方法、”次の場所”への進み方、ライフイベントとの両立法と、フリーランスについて覚えておきたいことがさまざまな角度から解説されています。制限があるなかでよりよい仕事をしたいのであれば、読んでおくべき価値はありそうです。

(印南敦史)

メディアジーン lifehacker
2017年3月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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