<東北の本棚>食べて支援復活手助け

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三陸わかめと昆布 浜とまちのレシピ80

『三陸わかめと昆布 浜とまちのレシピ80』

著者
婦人之友社 [編]
出版社
婦人之友社
ISBN
9784829208366
発売日
2017/03/11
価格
1,512円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

<東北の本棚>食べて支援復活手助け

[レビュアー] 河北新報

 石巻市北上町十三浜は、北上川(追波川)と三陸の海が出合う滋養豊かな水域に面し、荒波にはぐくまれる「十三浜ワカメ」は肉厚で味も絶品とされてきた。ワカメ養殖を生業とする漁業者たちは、しかし、6年前の東日本大震災の津波で大打撃を受けた。高さ13メートルの津波はリアス式海岸に点在する漁港と集落、養殖施設と船を流し、計293人もの犠牲者を生んだ。
 十三浜の支援に通ったのが、雑誌「婦人之友」の愛読者でつくる仙台友の会の女性たち。浜の生活そのものであるワカメの復活を助けるため、同誌を通じ「食べて支援しよう」と全国の読者に注文を呼び掛け、住民と一緒に発送する活動を続けている。本書は、支援を一歩進めて、十三浜ワカメを家庭でもっと、おいしく食べてもらうための80種類のレシピを網羅した。
 「わかめとベーコンのオムレツ」、「どっさりわかめのごま油炒(いた)め」、「わかめ、玉ねぎ、さつまいものかき揚げ」、「キャベツのわかめロール」…。普段はみそ汁の具しか思いつかないワカメが大変身する。
 全国の婦人之友の読者からアイデアを募り、プロの料理人たちや地元の石巻北高、十三浜の住民と交流する自由学園(東京)の生徒も創作レシピを寄せた。その一つ一つを仙台友の会が試作し、ワカメを生かす多様な料理を生み出した。
 地元の主婦たちの手料理もある。豆腐を使う「わかめとえのきの白和(あ)え」、ワカメを無駄なく食べる「茎わかめの炒め煮」、浜の豊かさを伝える「わかめとウニとアワビのさっと煮」、塩蔵ワカメを生かす「きざみわかめのおにぎり」。
 ワカメと生きる十三浜の歴史、6年前の受難と復旧の歩み、住民たちの表情も記録されている。浜に通って取材、執筆した仙台市在住の同誌記者小山厚子さん(60)は「ワカメの魅力を通して消費者が十三浜を知り、新しい形の支援に末永くつながってほしい」と希望を託す。
 婦人之友社03(3971)0101=1512円

河北新報
2017年3月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

河北新報社

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