電通も博報堂も同じ? “強い言葉”の作り方

レビュー

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「言葉にできる」は武器になる。

『「言葉にできる」は武器になる。』

著者
梅田 悟司 [著]
出版社
日本経済新聞出版社
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784532320751
発売日
2016/08/29
価格
1,620円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

“強い言葉”の作り方は電通も博報堂も同じ?!

[レビュアー] 田中大輔(某社書店営業)

『「言葉にできる」は武器になる。』がロングセラーになっている。昨年の8月に発売され、11刷で9万部を突破した。著者は電通のコピーライターで、ジョージアの「世界は誰かの仕事でできている。」や、タウンワークの「バイトするなら、タウンワーク。」といったコピーを手がけた梅田悟司(さとし)である。

 前回紹介した佐々木圭一『伝え方が9割』(ダイヤモンド社)が強い言葉を生み出すテクニックに特化した本だとすると、こちらはそのテクニックを活かすための思考について書かれた本である。とはいえ、テクニック面でも大変示唆に富んでいる。「日本語の『型』を知る」という項では、対句や反復といった国語の教科書に出てくる表現方法を用いた強い言葉の作り方が書かれている。これは『伝え方が9割』で言うところの、「ギャップ法」や「リピート法」と同じだ。佐々木圭一は元博報堂、梅田悟司は電通のコピーライターである。その2人が強い言葉の作り方で同様の発言をしている。つまり人を惹きつけるコピーというのは、ある程度まではテクニックだけで作れてしまうのだ。ただ、テクニックだけで作った言葉が本当に人に響くのだろうか? そうは思えない。

「私は料理人としての最高のスキルとテクニックを持っている。そのため、どんなに素材が悪かろうが、顧客が満足して帰る料理を提供することができる」。比喩としてこんな文章が出てくる。これを聞いて、いい気分になる人はいないだろう。料理と同様に言葉を作る上で大事なのはテクニックよりも素材、つまり思考なのだ。「言葉は思考の上澄みに過ぎない」。「内なる言葉」の存在に意識を向け、それを育てることが大事だと著者は言う。「内なる言葉」とは頭の中で話している言葉のことだ。考えているのではなく、頭の中で「内なる言葉」を発している。これを磨くことで思考が鍛えられ、言葉の解像度があがる。すると言葉に重みや深みを持たせることができるようになるそうだ。あなたの「内なる言葉」はこの文章を読んだとき、いったいなんと言っているだろう?まずはそれを意識することから始めてみてはいかが?

新潮社 週刊新潮
2017年3月30日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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